病気予防に手洗い、うがい、「口腔ケア」

家から帰ったときや、職場から家に帰るとき、そしてトイレから出るとき、皆さんは手を洗うと思います。それは、手についたばい菌を洗い流すためですよね。洗い流さないと、いつか口の中に入り風邪や病気になってしまう。周りの人が咳やくしゃみをしていたら、口の中にばい菌が侵入してきてしまいます。そこでうがいをすることで洗い流してしまい、喉より先にばい菌が侵入せず、風邪や病気を防ぐことが出来ます。

手洗いやうがいだけでは予防できないもの

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こちらより引用
入院患者さんだけでなく、普段生活されている皆さんも歯磨きをしていると思います。タイミングの多くは食後だと思うのですが、朝起床時に行っている人たちもいると思います。それは、歯や歯肉についたばい菌をそぎ落とし外に排出することで、虫歯の予防になるからです。しかし、歯磨きは虫歯を予防してくれるだけでなく、他の病気も予防してくれるのです。それが肺炎です。肺炎は、口の中で増えたばい菌が、唾液や痰と一緒に、肺の方にたれ込むことで生じます。そのような事態になったとき、若い人たちは咳き込むことで外に出すことが出来ますが、高齢者になると反射能力が弱まりたれ込んだことにすら気がつかないのです。これを専門用語で、「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」と言います。反射力を鍛えることは難しいため、誤嚥を防止することも、難しいと言うことです。しかし、肺炎にはなりたくない。どのようにしたら、肺炎を予防できるのか、今回まとめたいと思います。

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年をとるほど、口の中は乾く。

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こちらより引用
口の中を清潔に保つ仕組みとして、繊毛(せんもう)運動と、唾液の分泌があります。唾液の分泌が多ければ多いほど、口腔内でばい菌が増えることをおさえることができます。しかし、口呼吸や加齢により口腔内は乾燥しやすく、ばい菌は増えやすい状況になってしまいます。また、口から肺までの間にある気道という空気の通り道には細かい毛のような組織があり、それを「繊毛(せんもう)」といいます。この繊毛は肺の方に向かってすすんできたばい菌を、口の中に送り戻す動きをします。これを「繊毛運動」といいます。しかし、加齢や喫煙などにより繊毛運動は弱まってしまいます。そのため、口腔内の乾燥や繊毛運動が低下した高齢者の場合、反射も弱まっているためばい菌が肺の中に入りやすく、肺炎を引き起こしやすいのです。

肺炎を予防する毎日の習慣

肺の中にばい菌がいきやすくなり、肺炎になりやすいということまでは理解できたと思います。しかし、反射の低下や口腔内の乾燥、そして繊毛運動の低下など、喫煙や口呼吸をしていたら防ぎようがありますが、両方とも当てはまらなければどうして良いのでしょうか。それは、歯磨き(口腔ケア)です。虫歯予防の歯磨きが、どうして肺炎予防になるのか不思議な方もいるでしょう。歯を磨く効果は、ばい菌を掻き出すだけではなく、歯肉や舌を刺激し唾液の分泌を促進するのです。また、オーラルバランスなど、口腔内の乾燥を防ぐ商品を発売されています。

歯磨き粉が原因で乾燥するかもしれません

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実は歯磨き粉の成分により、口腔内の乾燥が強くなってしまう場合があります。そのような歯磨き粉を使用していると、ばい菌をいくら掻き出しても、肺炎の予防につながらず、無駄な努力になりかねません。泡立ち成分であるラウリル硫酸ナトリウムや洗口液に含まれているアルコールは、乾燥を増やすと言われています。同時に、これらが入っていないとさっぱり感がなく、気持ち悪いという感覚に陥る人も多いはず。まずは、上記成分が含まれていない口腔ケア製品をチョイスし、自分に合わなかったら、自分に合うモノをチョイスし、毎日歯磨きを行うことをオススメします。


こちらが、ラウリル硫酸ナトリウム不使用の歯磨き粉。

肺炎予防の予防接種がある

毎日の歯磨きだけでは、本当に予防効果があるのか不安だという方もいるでしょう。そんな方に、肺炎予防の予防摂取をおすすめします。インフルエンザの予防接種と異なり、5年間の効果が持続します。そして65歳以上の方には国からの補助金が出ます。5年間効果が持続するということで、お役所仕事のお国様は65歳、70歳ときりの良いタイミングでしか補助金を出してくれないので注意してください。

さぁ、みんなで歯磨きをしよう!

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ABOUTこの記事をかいた人

救命センターの看護師。英国型のナーシングホームをやりたい。アロマなどを用いて西洋医学一辺倒ではないケアを提供することが目標。学園祭で講演会を1人で企画運営し成功させた。アトピー性皮膚炎の患者指導も研究している。