採血で倒れたことない?それって、貧血じゃないかもよ。

採血中に具合が悪くなったことがある人もいるのではないでしょうか。

クラスに1人や2人はいるはず。
採血後に横になっている人。
顔も青白くなって、あぁあの人は貧血なんだなと思ったこともあるのではないでしょうか。

貧血の人が倒れることはあるかもしれませんが、貧血じゃなければ倒れないというわけでもないのです。

貧血 001

実は、倒れるのは貧血だけではありません。
予防接種のときに、倒れる場合もありますし、トイレで倒れる場合もあります。
子宮頸がん予防ワクチンは、思春期の女の子が受けることが多いのですが、倒れる女の子がまれにいます。

一体どうして倒れてしまうのか?
そしてその予防方法は何なのか、について解説します!

採血で倒れるのはなぜ?

迷走神経という迷走している神経

身体の中にはたくさんの神経が走っています。
これは、電線の役割をしていて、脳の電気刺激を身体の隅々まで伝える役割をしています。
だから、神経が傷つくとしびれるような刺激がするのはそのためです。
傷ついた神経は、漏電を引き起こしているようなものだから。

たくさんある神経の1つに迷走神経という神経があります。
心臓や消化管などの内臓、そして血管にまで分布していて、血液の巡りをコントロールしている神経です。

実は、この迷走神経はやっかいなことがありまして。

人が興奮しているときって、ドキドキして心臓の動きが速くなるし、ハァハァして呼吸の数も多くなるじゃないですか。
受験の合格発表とか、宝くじの当選調べとか、エッチな動画とか、環境は様々だと思うのですが。

反対に、リラックスしているときって、心臓の動きも静かで、深呼吸しているような感じで呼吸の数も少ないんですよね。
森林浴とか、マッサージ中とか、そんな感じのイメージ。

興奮するときの状況として、こんな場面を想像してみてください。

自分は痛いのが嫌いで、注射はすごく嫌い。
でも、具合が悪くなってどうしても採血をしなければならなくなった。

痛いかな?一発で取れるかな?病院にいるだけで緊張してきたなぁ。

うっ、うでを縛るゴムがすごくきつい。

ちょっと、この看護師さん、なんかおどおどしてない?

え?まさか新人さん?

ドキドキドキドキ

ただでさえ苦手な採血で、不慣れな看護師さんに刺されることを想像していると、緊張してきますよね。
このように、過度に緊張してストレスがかかる環境で、強い痛みなどの刺激が加わると、迷走神経が「まずい!まずいぞ!」と大騒ぎをはじめます。

興奮のしすぎダッ

今すぐ、リラックスっ

と。

その結果、心拍数が極端にゆっくりとなり、血管もシナッとなり、血圧が一気に下がります。
脳にいく血流も少なくなるため、気を失うのです。

これが、採血で倒れる理由。
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その名も血管迷走神経反射

興奮のしすぎで、迷走神経が大騒ぎをはじめ、気を失ってしまう・・・・・・。
それが、生命維持にとって必要なものなのかはわかりません。
でも、興奮が度を過ぎると、心臓などに負担を掛けてしまうのかも知れませんね。
だから、気を失ってまでも、休めたいという作用なのかも。

この、血管迷走神経反射、一体どのような条件で生じやすいかご存じですか。
日本赤十字社が、献血をうける人を対象とした調査があります。
その中で、

  1. 献血がはじめて
  2. 前回の献血から間隔があいている
  3. 若い人
  4. 失神したことがある
  5. 献血に対して強い不安や緊張感
  6. 強い空腹や食べ過ぎ、強い疲労感や睡眠不足

などなどがあげられています。

先ほどの状況では、採血に対する強い不安感や緊張感があげられますね。
子宮頸がん予防ワクチンで、倒れる女の子がいるのは、若い人っていうのがあげられますね。

献血だけではなく、病院ではどうでしょうか。
病院で手術後に自分の血液を輸血するようにあらかじめ血液を抜くことがあります。
自己輸血というのですが、他人の血液と異なり副作用が生じづらいという特徴があります。

この自分の血液を抜く際に、血管迷走神経反射を引き起こした人を岡山大学が調査したそうです。
詳細はこちらの記事を参照してみてください!

採血などで気が遠くなったり気分が悪くなったりする人がいます。血管迷走神経反射と言います。休めば自然に治ります。岡山大学病院の統計から、血管迷走神経反射を起こした人の特徴が検討されました。 血管迷走神経反射はどんな人に多いのか 岡山大学病院などの研究班が、

その中で大切なことはこの3点。
血管迷走神経反射を引き起こした人の共通点は

  1. はじめて自己輸血のために自分の血液を抜いた
  2. 心拍数が多い
  3. 上の血圧が低い

献血と異なり、血圧が低い人や心拍数がもとから高い人は注意が必要そうですね。

そもそも採血で倒れないようにする対策はあるの?

倒れないためには、前日にしっかりと休んでおくことが大切です。
寝不足、強い疲労感は、要因としてあがっているし、なにより自分で防ぐことの出来る1つですから。

その上で、横になったまま採血や予防接種をしてもらうのが良いでしょう。
不安感が和らいだり、少しはリラックスできるはずです。

そしてなにより、倒れたあとの二次被害を防止できます。
気を失うと、採血している腕が動いてしまいます。
血管内に針を刺しているわけですが、それが神経や動脈という太い血管に刺さってしまう場合があるのです。

そうすると、一生しびれが残ったり、大出血するリスクがあるのです。
そのため、横になって採血をしてもらうことは、自分の身を守る上で大切なことなんです。

まとめ

採血で倒れるのは、貧血だからじゃありません。
極度の不安や緊張によるものです。
心配な人は、横なってやってもらいましょう!

〜参考〜
・失神の診断・治療ガイドライン
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_inoue_h.pdf

・日本救急医学会 迷走神経反射
http://www.jaam.jp/html/dictionary/dictionary/word/1103.htm

・MEDLEY 血を抜くと気が遠くなりやすい人はどんな人?
https://medley.life/news/5936711b2815f8eb188b4570/

ABOUTこの記事をかいた人

救命センターの看護師。英国型のナーシングホームをやりたい。アロマなどを用いて西洋医学一辺倒ではないケアを提供することが目標。学園祭で講演会を1人で企画運営し成功させた。アトピー性皮膚炎の患者指導も研究している。